2006-06

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涼宮ハルヒの憂鬱 存在考察

とっくに書かれまくってることですし、どうせ誰も期待していないでしょうが、有言実行がモットーです。やるといったからにはやります。それではちょっと電波の入った「涼宮ハルヒの憂鬱」の感想をどうぞ。


序盤は「頭のネジが数本吹っ飛んでる超アグレッシブ少女、涼宮ハルヒに巻き込まれる主人公キョンのドタバタ学園モノ」と王道的な展開を見せるのですが、中盤以降は急転直下。ハルヒの知らないところで超常現象が巻き起こり、ハルヒの知らないところで息を呑む非日常が繰り広げられ、最終的には現実と非現実の境界線を行き来することに・・・ってのが大まかな骨組みなんですが、あんまり書くとネタバレですな。アニメ版の放送もこれからってところですし。
さらに言えば、広げまくった大風呂敷を、それこそ主題である恋愛で上手に括って折りたたむあたりがこの作品最大の味では無いかと。

作品内では副題として(主題は恋愛)「存在に関する考察」が展開されます。幾らか哲学的な感覚に陥りますが、そう難しいことでもありません。なるべく分かり易い例を挙げてみましょう。
とあるジャングルの奥に住む原住民。狩猟と農耕で自給自足の生活を営み、他の部族との交流も無く、現代社会から完全に孤立していました。もちろんテレビや自動車なんてものは無く、空を飛ぶものは「雲か鳥」の二種類しか存在しない世界。そう、「雲か鳥」の二種類しか知らないから、彼らの世界には飛行機が存在しなかったのです。
しかし、テレビの取材に来たスタッフがその住民達と交流する際、「今空を飛んでいるのは飛行機だよ。人の作った空飛ぶ乗り物なんだ。」と教える機会がありました。以後、原住民の世界には新たに「雲と鳥と飛行機」が飛ぶようになったそうです。
次。
肩こりなんて、基本的に日本にしか存在しない症状でした。多分、世界中から肩こりに悩む人を集めたとしても、九割以上が日本人で占められる事でしょう。しかし、その肩こりも世界中へ伝播しつつあります。別に伝染病でも無いのにね。
原因は国際化社会にともない、多くの日本人が海外へ進出。その先で「ほら、肩が疲れて筋肉が堅くなる事があるだろ。アレを肩こりって言うんだよ。」と御丁寧に教えてあげた結果なんだとか。
つまり、人間は自分の知らないこと、知らない情報を存在として知覚出来ないって訳です。もしこの考え方に反論したい方は、肝臓ガンで亡くなった戦国武将を私に教えてください。当時はガンで死んだ人間なんて、一人も居なかったはずですよね。少なくとも、ガンが発見されるまでは一人も。
それこそ究極的に煮詰めれば、この世の全ては自分が捉えている範囲でしか存在しない、ってことです。

あー、まあ、あまり難しく考えずとも、この世の中はとりあえず存在しますし、一般人が生きていく上ではそれで困らない。でも何かを求め、それに向かって努力すれば自分を中心とした世界を変えられます。
ついでに言ってしまうと、恋愛だってそう。興味の無い人間には無関心でも生きていられるし、一切の関係を持たずともさして困らない。けれど意中の人が出来ればそれを中心に価値観が変わり、世界観が変わる事だってあります。

「涼宮ハルヒの憂鬱」はそんな哲学的思想とドタバタ学園モノという一見矛盾しそうなテーマを、実は合理的に書き上げた快作では無いかと思うのですよ。

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